アルカリイオン水の生成方法と性状

アルカリイオン整水器の歴史

アルカリイオン水は、昭和6(1931)年頃より研究が開始され、昭和40年(1965年)に家庭用医療用具として胃腸に対する効果が承認されました。ここではアルカリイオン水の黎明期から、加熱的ブームの到来、更に科学的根拠に基づく有用性実証に至った、現在までの経緯・社会的動向に関して紹介します。

アルカリイオン水のおいたち

アルカリイオン水の動植物への影響についての研究が始まったのは、シンノオル電機医学者である諏訪方季氏が水と電気との関係に着目した昭和6(1931)年頃からです。
諏訪氏は全国各地の水の水質について調査・実験を重ね、昭和27(1952)年、最初の水の電気分解装置を開発しました(当時、アルカリイオン水は「シンノオル液」と呼ばれていました)。

その後、東京大学の秋葉教授らの協力とともに実験を重ね、まず農業面(稲作栽培)への応用として昭和29(1954)年に「シンノオル電子農機」を製造して農業への応用効果が検討されました(これは当時、「シンノオル農法」として新聞誌上で取り上げられ、話題になりました)。

一方、医療面への応用については実験が複雑なため難航していましたが、多くの医師・一般利用者による臨床実験・使用体験を基に昭和33(1958)年には「シンノオル液製造機」を開発、昭和35(1960)年にシンノオル液医学薬学研究会が発足し、電解水は農業面と医療面で実用化への動きが現れました。

医療用具としての薬事認可~本格的な実用化へ

こうした気運の中、昭和37(1962)年に長野県と京都府の別業者から、内務省衛生局(現在の厚生労働省に当たる)に電解装置が持ち込まれ、医療機器としての製造許可が申請されました。
しかしながら各地の水道水は地域差があるため、シンノオル液の製法では各地の水質において同じ性状のアルカリイオン水を生成することに限界がありました。

そこで、どの地域の水道水を用いても安定にカルシウムイオンを含有させ、アルカリ性pHを確保するため、乳酸カルシウムの添加を前提とする指導を受けて、ようやく「シンノオル液製造機」は昭和41(1966)年に製造承認されて医療用物質生成器として薬事法の適用を受けるに至りました。

薬事法(当時)にて承認された医療機器としての効能効果は、以下の通りです。
(厚生省薬務局監視指導課長通知 薬監第57号 平成4(1992)年10月19日より)

アルカリイオン水(陰極水) 飲用して慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多に有効である。
酸性イオン水(陽極水) 弱酸性のアストリンゼントとして美容に用いられる。

なお、上記の効能効果は、厚生省薬務局長「薬発第763号(昭和40(1965)年10月8日)、各都道府県長宛」にて、医療用電解水製造装置として通達された経緯もあります。
そしてこれ以降、製造承認を受けた医療用物質生成器が次々に登場します。

電解装置の開発も進み、昭和54(1979)年には水道蛇口に直結できる連続式電解水生成器(その後に浄水機能も付加)が承認され、この頃より「アルカリイオン水」との名称が使われ始めました。

アルカリイオン水の様々な調査や報道、そして協議会の発足

連続式電解水生成器が承認された頃より、社会における飲み水に対する認識や、健康指向の高まりといった追い風も受け、アルカリイオン水は徐々に社会に認知されていきました。
平成4(1992)年6月、テレビのニュース番組にてアルカリイオン水は「驚異の水」として紹介されました。

ここでは病院での治療にアルカリイオン水を使用し、効能効果として承認されていない糖尿病等にまで効果があるという報道が医療機関の実写映像を通して行われたものですが、次第にアルカリイオン水に対して承認外の効能効果まで期待される動きが現れ始めました。

こういった社会的背景の中、業界としてはアルカリイオン整水器の正しい知識と使い方の啓発、品質の一層の向上を図り、健康・快適な生活に役立てて頂くためには、製造・販売に関係する全ての企業が一致協力することが肝要と考え、社団法人日本ホームヘルス機器協会第2部会を中心として、平成4(1992)年9月にアルカリイオン整水器協議会を設立しました。

アルカリイオン水の今日的レベルでの科学的な検証

アルカリイオン整水器は、このように順調に広がりつつありましたが、平成4(1992)年12月に国民生活センターが実施した商品テストにより、マスコミから効果の疑問提起が行われるという事態が発生しました。
更に、このことは国会(第126回国会参議院厚生委員会、平成5(1993)年3月26日)でも取り上げられ、当時の厚生省からは業界に対し、「品質・有効性・安全性」に関する今日的レベルでの科学的な検証結果の提出を要望されました。

そこで協議会としてはこれを受け、平成5(1993)年2月にアルカリイオン整水器検討委員会(委員長:京都大学医学部 糸川教授(当時))に検討を依頼し、最新の科学の目によるアルカリイオン水の安全性と有効性の再検討活動がスタート致しました。

平成6(1994)年には検討委員会から安全性再確認の報告が、また平成9(1997)年頃には、アルカリイオン水の胃腸に対する有効性の一端が確認されました。
そして平成11(1999)年にはアルカリイオン整水器検討委員会より、第25回日本医学会総会パネル討議「医療における電解機能水」において、飲料水としては世界初の二重盲検比較臨床試験により「アルカリイオン水は有用」との結論が提示されました。

こうした研究結果に基づき、協議会ではアルカリイオン整水器の規格基準を改定するなど、より高いレベルの製品提供が行われています。

科学的根拠に基づく、家庭用医療機器としての位置付け

当協議会では、試験成績に基づく安全性並びに有効性情報を自主基準として取り入れてきましたが、現在は、家庭用医療機器の認証基準であるJIS T 2004「家庭用電解水生成器」に反映され、安全性と有効性確保のための基準として制定されています。

平成17(2005)年には、薬事法(当時)の改正が行われましたが、これに伴い、アルカリイオン整水器は安全性の高さからも、家庭用の管理医療機器として新たに位置付けられることになりました。
なお現在では、JIS T 2004はアルカリイオン整水器の管理医療機器としての適合性認証基準として定められており、使用目的・効能効果は厚生労働省告示112号にて、「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」と通知されています。

更なる発展に向けて~「電解機能水」としての有効性への期待

現在では、アルカリイオン水は殺菌作用のある酸性電解水等とともに「電解機能水」とも呼ばれ、学術的なアルカリイオン水に関する研究気運も盛り上がりを見せております。
平成13(2001)年まで毎年、(財)機能水研究振興財団の主催で開催されておりました「機能水シンポジウム」、または平成14(2002)年に設立された日本機能水学会などにおいても、アルカリイオン水の生体に対する新しい生理作用の研究が多く見られ、今後、アルカリイオン水の有効性に関する生理機能の解析や、新たな「機能」 の探索が行われつつあり、それらの検討・展開が待たれるところです。

当協議会としても、今後、更に実使用における安全性情報の蓄積を推進しつつ、適切な飲用方法や対象症状などについての認知を広げる必要性が高いと考えますので、一般消費者側での誤認や誤解の生じないように、正確な情報提供に努めていきます。
一方、国際的にも注目が寄せられている状況でもあり、今後も(一財)機能水研究振興財団及び日本機能水学会等の他組織・他団体との連携を図りつつ、努めてまいります。


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